大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)4331号 決定 1953年3月12日

本籍

島根県邇摩郡大国村大字大国一〇二〇番地

住居

東京都新宿区戸塚町四丁目八五二番地

会社員

佐川正雄

明治三九年一〇月三〇日生

本籍並住居

東京都武蔵野市吉祥寺二八七二番地

会社員

中村泰明

大正九年三月一三日生

右被告人両名に対する業務上横領各被告事件について昭和二六年八月三〇日東京高等裁判所の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人津久井利行の上告趣意第一点は、事実誤認の主張に帰する。公団の出納係が他人と共謀の上業務上保管にかかる小切手金員等をほしいままに他人に流用したときは自己の物として不法に領得する意思を実現したものであるからたとい右の流用が賃付の形式をとつても出納係に右小切手貸付の権限がない以上右の行為は業務上横領罪を構成し背任罪に問擬すべきではない。所論引用の大審院判例は本件に適切でない。第二点は量刑不当の主張である。論旨いずれも適法な上告理由に当らない。同小泉英一の上告趣意は単なる訴訟法違反、事実誤認量刑不当の主張を出でないものであつて、いずれも上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例